ジャージャー麺が好きな人

小学生のとき、ずっと好きな人がいた。彼はジャージャー麺が好きだったから、給食の献立にジャージャー麺と書いてあると、大きな声で喜んでいた。私はその決戦の日にできるだけ給食当番になり、さらに、麺担当になるべく画策した。 いざ配膳のとき、彼は「ねえ、多めでお願いします」と冗談らしく声をかけてきたが、私はクールぶった対応をした。隣に並ぶ同級生と彼がふざけ合う間、私は、彼の分のジャージャー麺を、贔屓にならない程度、気持ち多めによそった。 「あれ、ちょっと多くね?」と気づいてくれないかなあ、とソワソワしながら、彼が隣のスープを受け取りに横にずれるのを視界の片隅で見ていた。

さり

  • 給食

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お父さんと釣った魚

小さいころに、家族で小豆島に行ったときに、お父さんが急に釣りをしようといって、家族で釣りをした。それまで何度か釣りをしたけど、あんま連れたことがなかったんだけど、この日は小さい魚が何匹か連れて。何の魚か覚えていないけど、宿に持ち帰ってから揚げにしてもらったら、ホクホクでとても美味しかった。釣れた時も食べてるときも、お父さんがとてもうれしそうにしていたのを覚えている。せっかくの旅行だから、いい思い出を残したくて張り切っていたのかな、と、今思い出していてなんとなく思う。釣りをしていた時にみた海に反射する夕日がとてもきれいだったのとあわせて、なんとなく忘れられない旅の思い出。

sayaka さん

みそおにぎり

自分の地区では、おにぎりの外側に味噌をまんべんなく塗った味噌にぎりを食べます。特徴は焼かないこで、炊き立てのご飯に味噌を塗るだけです。冷や飯でも美味しいですが、 この食べ物は自分が子供のころから、おやつがわりにおばあちゃんがよく作ってくれました。 この味噌にぎりを一番美味しいと思ったのは、高校の時です。私の通っていた高校では一昼夜を通して80km強の距離を歩く「強歩」というイベントがありました。1日目の朝に出発し、那須・大田原あたりをぐるっと回るこの強歩はかなりきつく、次の日の昼に終わった時には本当に立ち上がれないくらいに疲れ切ってしまいます。これを三年間、毎年私は最後まで完歩しました。  一年目の強歩が終わってへろへろの状態で家に帰ると、おばあちゃんが「疲れたろ」と言い、この味噌にぎりを作ってくれました。高校になってから部活も勉強も忙しく、おやつを食べることも少なくなっていた私にとって、それは久々の味噌にぎりでした。なんだこんなもの、と思いながらも食べると、それは疲れと空腹もあって、人生で一番美味しかった味噌にぎりでした。 あっという間に平らげると、おばあちゃんはもう1つ作ってくれて、それもすぐに食べると3つ目を作ってくれました。「味噌は力になるから」というのがおばあちゃんの口癖で、その時もそれを言っていました。 おばあちゃんはそれからしばらくして施設に入りましたが、味噌にぎりを食べる私を見ながらにこにこ笑っていた顔を今でも思い出します。

栃木のバティストゥータ さん

給食のずんだ春巻き

小学校の給食で、名産のずんだの春巻きがよく出ていた。とくに美味しい!というわけじゃないんだけど、ずんだ春巻きが給食に出た日は、おかわりの取り合いのじゃんけんが異常に盛り上がったのを覚えてる。なんだったんだろう、あの熱気は。

えだまめ さん

給食が嫌いだった

給食が嫌いだった。 ”決められた時間で食べ終えなければいけない”  ”給食当番がかなりめんどくさくて大変” ”残してはいけないというあの雰囲気” 栄養価が高い以外のメリットをあまり感じていなかった。だから、高校生になって給食がなくなったときはすごく嬉しかった。でも、ある日友達と好きな給食のメニューの話ですごく盛り上がった。違う中学校で住んでいる地域も違う。なのに給食という共通の思い出は合って、そのことが嬉しかったし面白かったのだ。 栄養価が高い以外にもメリットがあった。それは給食という共通の思い出を私たちに提供してくれていることだ。そう考えると無性に食べたくなった。

ペパーミント さん

京都滞在を延ばした本当の理由は、ごぼ天うどん?

大学1年生の12月28日、初めて一人旅に出た。場所は京都。 アルバイトで貯めたお金に余裕はなくて、宿泊はゲストハウスに。そのゲストハウスの人に教えてもらって、食べに入ったうどん屋さん。 そこで、ごぼ天うどんを食べて目を見開いた。ごぼうがシャクシャク、ホクホク。カレー塩がまぶしてあって、永遠に食べていられる絶妙なごぼ天なのだ。うどんとの相性も最高、悪いわけない、永遠コース。 感動した私は、ゲストハウスで人と知り合うたびにごぼ天うどんに誘い、新しく宿泊しにきた人をごぼ天うどんに誘い、ごぼ天の美味しさをただただみんなと共有し続けた。 そして、12月31日。この日には東京に帰る予定だったのに、「私、今夜も、ごぼ天食べていこうかな……」 その場にいたゲストハウスの友人たちは「本当にあのお店のごぼ天うどんが好きなんだねえ、付き合うよ」と笑ってくれた。 結局、2泊も延泊した。初めて、年越しを実家以外で過ごした冬だった。 私が延長したかったのは、ごぼ天を食べる時間だったのか、ゲストハウスで知り合った友人たちとの会話や時間だったのか。美味しさと楽しさをないまぜにして、東京に帰った。

ぐうぐう さん

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どうしても間に合わせたかったプリンケーキ

中学3年生のときのこと。仲良くなった友人の誕生日が土曜日にあって、その子はプリンが大好物で、常々「お腹いっぱいプリンを食べたい」と言っていた。だから、私はなんとしてもその子の誕生日をプリンケーキでお祝いしたかった。そこで、土曜日は午前授業だったので、ある計画を立てた。授業もホームルームも終わり、掃除の時間。友人は生憎、誕生日なのに掃除当番だったので、その隙に…… 私は学校から駅までダッシュ、電車で3駅隣にある、プリンが有名なケーキ屋さんに駆け込み、ホールのプリンケーキを購入し、今度は傾かないように胸の前でそうっと持ちながら、足だけ超ダッシュ。そして電車でまた学校の駅まで戻り、電車から学校の正門から教室までまたダッシュ。そして、掃除当番を終えてのんびり帰り支度をしていた友人の元にケーキをお披露目! 足を止めておいて欲しいとお願いしていたクラスメートの協力もあって、無事に、友人にホールのプリンケーキを届けられました。「ええ〜!!?」と大喜びしてくれた友人の前で、しれっと涼しい表情でハッピーバースデーを歌いました。 今振り返ると、一緒にケーキを食べに行けばよかったんじゃないか、とか、サプライズにしなくても喜んでくれたんじゃないか、とも思うのですが、誘うのではなく、仲良しになったその子に何かを贈るぞ、という気持ちが強かったように思います。人生であんなにダッシュして頑張ってお祝いしたお誕生日は、あの日だけです。

すいすい さん

給食が嫌いだった

給食が嫌いだった。 ”決められた時間で食べ終えなければいけない”  ”給食当番がかなりめんどくさくて大変” ”残してはいけないというあの雰囲気” 栄養価が高い以外のメリットをあまり感じていなかった。だから、高校生になって給食がなくなったときはすごく嬉しかった。でも、ある日友達と好きな給食のメニューの話ですごく盛り上がった。違う中学校で住んでいる地域も違う。なのに給食という共通の思い出は合って、そのことが嬉しかったし面白かったのだ。 栄養価が高い以外にもメリットがあった。それは給食という共通の思い出を私たちに提供してくれていることだ。そう考えると無性に食べたくなった。

ペパーミント さん

おばあちゃんが作るもっちりさつまご飯

秋になると思い出す  おばあちゃんが作る  もっちりさつまご飯  肌寒くなってきたら私はこの味を思い出す  当時、一人暮らしをしていたおばあちゃん  私が遊びにいくとよくこれを作ってくれた  小学生だった私はこのご飯が大好きだった  何より好きだったのは  ご飯が炊けるまでの時間  おばあちゃんとあやとりをしながら  できあがりを待っていたあの時間  おばあちゃんがいなくなった今  秋になると私はこれを作る  あの幸せに包まれた小さな部屋を思い出しながら

ゆん さん

数年経っても家族の話題にのぼる、石垣島の島オクラ

転職前の有給休暇を使って、両親と子どもと行こうと計画した5月の石垣島旅行。 小さい頃は旅行好きの両親に連れられて、国内にも国外にもよく旅行に出たけれど、大学生になってからは友人や恋人との旅行が楽しくなり、親と旅行する機会は無くなった。 だから、みんな揃っての家族旅行は10年ぶりだった。 せっかくだから楽しんで欲しい、楽しみたい。大人になった私が上手にアテンドをして、リラックスしてもらいたい! そして、いざ旅行! 旅行によく慣れた、自分で動いてしまう両親だから、私のアテンドはなんだか空振り気味…。 いつまで経っても両親には敵わないなあ、と思いながら向かった初日の夜ごはんは、 石垣島の食材を使った数々の美味しい島料理が味わえる地元のお店。 石垣島らしさが詰まったメニューから何を頼もうかと目移りするのも楽しい…。 そこで、なんとなしに注文した島オクラ! 茹でて鰹節をかけられただけなのに、普段食べるオクラと違って、ふっくら柔らかく、味はほんのり甘い。 普段食べるオクラは五角形だけど、島オクラはまーるい。 そんなことを両親と子どもと不思議がりながら、「なんでこんなにこのオクラ美味しいんだろう?」とみんなで大はしゃぎ。 なんだ、みんなで、美味しいこと、不思議なこと、驚くことを楽しめばいいんだなあ。 みんなの楽しそうな笑顔を見て、ちょっとふさいでいた私の心もまーるくなりました。 この美味しい島オクラは、旅行から数年経った今でも、ふと家族の会話にのぼる、大事なごはんメモリーです。

すいとう さん

冬の予備校帰りに食べたカツ丼の味

なんでもないご飯なのに、とても感動することがある。 受験生だったとき、朝から晩まで勉強で我ながらよく頑張っていた気がする。 しかし成績は思い通りに伸びるわけではなく、よく落ち込んでいた。 たしか、模試の結果が良くなく、落ち込みながら帰った帰り道。 ふと見つけたカツ丼屋に吸いこまれていった。 寒くて凍えるような日で、出てきたカツ丼を食べて、あまりのおいしさに少し涙が出た。 あれ以来、色々なカツ丼を食べたけど、あの日のカツ丼を超えることはまだない。

さいとう さん