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新入社員時代のローカル焼肉
入社一年目、本当に忙しいなかで、生活の手続きまで手が回らなくて、気づくと電気も水も止まってしまった。季節は夏。水と電気がない週末はほんとに厳しい。ふと思い立って、旅行に行くことにした。東京での生活につかれてしまったのもあり、誰にも会いたくなくて、あえてなにもなさそうな茨木の田舎に行った。数時間、電車にゆられて、無人駅を乗り継ぎ、目的地についてみたら、観光地らしいものは何もない。ほんとうに「普通」のまちだった。とりあえず、地元の本屋で漫画を大人買いして、部屋でセミの声を聴きながら、ただ寝転んでぼーっと読んでいた。ひとりで宿の食堂で食べるのもなんか嫌だったので、ふらふらと町を歩いて、地元の焼き肉屋に入ってみた。入ってみると、お店の子どもと地元の高校生がアルバイトしていて、ローカルラジオがかかっていて、急に旅に来たんだなぁという気がしたのを覚えている。本棚には、昔のマンガがたくさんあった。焼肉は美味しかった、多分。正直何を食べたかとかは覚えていないんだけど、東京から遠く離れて、自分とは違う場所でも当然だけどその場所での生活や時間があって。あぁ、今の生活だけがぜんぶじゃないんだよなぁって気持ちが楽になった。いつかまた行きたいと思ってるんだけど、まちの名前も駅の名前も思い出せない。なんとなく不思議な記憶。
雲 さん
みそピー
給食にときどき出てきたみそピーは、味噌と砂糖とピーナッツを練り合わせた、少し甘くてしょっぱい食べ物で、小さなビニールのパッケージに入っていた。私は甘いとしょっぱいを同時に感じるのが嫌で、なんとなく苦手だった。それなのに、給食と言えば思い出されるみそピー。大人になった今なら、美味しく感じたりするのだろうか?
よく噛んで食べよう さん
娘と海の家
2番目の子どもが生まれた日、お姉ちゃんになる娘と閉まりかけの海の家でかき氷を食べた。もうお客さんもいなくなって、夜の海は真っ暗で。波の音を聞きながら、いつもよりも豪華なかき氷を二人で買って、おめでとうといってお祝いした。忘れられない夏の思い出。
おじちゃん さん
コロッケの罠
運動会の日の私にとって一番の楽しみは昼ごはんでした。母が運動会の日に作ってくれるお弁当には、絶対に自家製コロッケ入っていました。その年も、母の自慢のコロッケが堂々と弁当箱の真ん中に鎮座していました。しかも今回は、何故かいつもよりひと回り大きく、見るからに"スペシャル"な雰囲気。「これを食べたら絶対勝てる!」とワクワクしながら、一口かじりました。ところが、その瞬間…まさかの「ガリッ」。ん?なんか硬いぞ?いつもホクホクのはずのコロッケが、まるで岩のように硬い!友達に「ちょっと噛んでみてよ」と渡してみると、彼女も苦笑いしながら「これ…岩じゃない?」と。全員大爆笑です。運動会後、家に帰って母に聞くと「揚げすぎちゃってさ、固まっちゃったのよ!」とケラケラ笑っていました。それ以来、あの「岩コロッケ」は、家族の中で伝説となり、毎年の運動会になると必ず話題に上る定番ネタになりました。
おうみ さん
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甘くて美味しい玉子焼き
実家に帰るとご馳走で迎えてくれる母親 子供の頃から大好きだった料理をそのまま揃えた食卓 特にその中でも海苔巻きが大好きです 母親の作る玉子焼きは砂糖とほんだしが入っていて それだけで甘くて美味しい その玉子焼きはお弁当にもいつも入っていたから 懐かしい味わいでもある 私には綺麗な部分をくれる でも玉子焼きが好きだからこの端っこを食べちゃう また食べたくなってきた 実家に帰ろう
ながらぼ さん

卵型のゼリー
小学校の校外学習が誕生日と被った3年生の秋。その日のお弁当はいつもと違って特別でした。卵に小さな穴を開けて中身を出して、中にゼリーを入れて母特製のバースデースイーツを作ってお弁当に入れてもらいました。遠足の外で食べるお弁当というだけで、いつもより特別なのに、今日はさらに特別。そしてお友達からもおめでとうと言ってもらい、ご機嫌。一緒にレジャーシートを広げて食べた子たちからはいいなぁと羨ましがられ、ちょっぴり得意気。食べたらすすぎきれなかったのか、少し卵の味が残っていたゼリーでしたが、嬉しかったです。素直じゃないので、帰宅後、きちんと母にありがとうを言えなかった記憶がありますが、ちゃんと伝えれば良かったなぁ。母からの愛を感じました。10年以上前に他界していて今はもう会えない母に感謝です。素敵な美味しい愛情たっぷりのお弁当をありがとう。美味しかったよ!またいつか食べたいよ〜。
へなちょこぴーまん さん
おばあちゃんの煮た林檎
私の好物は煮た林檎。 幼少期おばあちゃんが作ってくれた料理。 その料理が生まれたのは、乳歯が抜ける時期。私が「歯がぐらぐらして痛いから、りんごは食べれないよ。」と言うとおばあちゃんは「じゃあ煮てあげようね。」と、切った林檎を煮て、砂糖をかけてくれた。 幼い私にとって未知なる姿に変わった林檎は、とても衝撃的だった。甘くて口の中でとろける、アップルパイの中身だけ頬張ったような幸せな味だった。それから私のお気に入りになったこの料理。暖かいまま食べると、私の心を優しく包み込んでくれるのです。今でも私はおばあちゃんを思い出しながら、林檎を煮て食べています。
イマジナリー さん
初対面はBBQ
恋人と付き合い、この人と長く一緒にいることになるのかなあ、と思い始めた20代半ば、実家の屋上でお昼にBBQをする話が持ち上がり、今だ!と思い、その日に恋人を両親に紹介しようと決めました。恋人は事の重大さを意識しているのかいないのか、「いいよ〜BBQいいね〜」と緩い反応。両親は「分かりました たくさんお肉を準備しておきます」とテキストだけではわからない反応。そしていざ当日、恋人も両親も自然な感じで始まるBBQ。あれ、私だけがドキドキしていたのかな…?と思うほど自然に進行し、順調に胃のなかに収められていく食材たち。お酒も入って、「まあもういいか〜」という気分になった頃、ソファが目に入り、私は酔いもあいまって、眠りの底に……。気づくと、ソファの隣で、恋人の寝顔。私たちは二人、実家の巨大なソファでぐうぐう眠っていたようです。自分のことはさておいて、「この人!彼女の実家に来ておきながら、眠ってる?!」と驚きましたが、気持ちよさそうにまだ眠る恋人と、屋上でまだお酒を飲み続けていた両親。自然体こそ人生の秘訣なのかもしれない、と考え直し、また目を瞑っていると、降りてきた父がふわっと私たちにブランケットをかけてくれるのが分かりました。
ふじもと さん