これだけは食べたい雑炊の話
母は料理をしない人で、ほとんど外食や惣菜を買ってきていた。ただ、唯一、自分の手で作ってくれるのが冬に食べるお鍋でした。私は無限に具が追加されるような夜のお鍋も好きだったけれど、我が家では、翌日にそのお鍋でつくってくれる雑炊が格別でした。いろいろな旨みが染み込んだ鍋地に、卵がやわらかくとろけて、ごはんがハフハフ。片手鍋いっぱいにつくった雑炊を何度もお代わりして、絶対に食べ切っていました。そのおかげで、何度か学校に遅刻しそうになったくらい…… お鍋の日の翌朝、冬なのにお腹がたっぷりの雑炊で温まっている、あの嬉しい気持ちを冬になるとよく思い出します。
ぎゅうすけ
SNSでシェア
エピソードをもっと見る
エリアで探す
偏食な父が好きなもの
子どものころ、焼き魚が食卓に乗ったことはない。お刺身も、お寿司も。 唐揚げ、親子丼、焼き鳥など鶏肉もめったに食べなかった。肉は牛、次いで豚。これのみ。 母は栄養バランスを考え、子どもたち用に工夫して父と異なるごはんをつくってくれた。大変だったと思う。感謝しかない。 父は偏食だった。元をたどれば父方の祖父が偏食だった。牛肉が好きで、90歳を超えてもステーキをよく食べていた。 週末。父はよくラーメンやそばの出前をとった。月に1回くらい、少し遠出して父がお気に入りの中華そばも食べに行った。ランチはお子様ランチのあるファミレスによく連れていってくれた。ハンバーグ、ステーキ、コロッケ、オムライス、ナポリタン・・・どれも父自身が好きだったから。 平日の夜。ビールに厚揚げ、生ショウガの味噌合え、スルメイカにマヨネーズ(唐辛子かけ)などをアテにしていた。下戸なのに。ちびちびと吞んでいた。 ああ、結局ぜんぶ好きになったものばかり。ただ、焼き魚もお刺身もお寿司も大好きになった。好みは受け継いだが、私は偏食家ではない。
あっちゃん さん
春限定の山菜
毎年4-5月になると知り合いに貰ったり、家族が採りに行った山菜が食卓に上がります。 タラの芽とコシアブラとコゴミはカラッと揚げて天ぷらに。普段料理は私か母がしますが、これは父の担当です。抹茶塩を付けて食べます。 タケノコはアクを抜いてから、牛肉と甘辛く煮るのは母の担当。 炊き込みご飯にするのは私です。 みんなでそれぞれ作ったものが並び、 これらを食べると今年もこの季節が来たなと思います。旬の味です。
みるく さん
妻とはじめて喧嘩した青春のフグ刺し
九州と本州を結ぶ関門橋がある街、下関市。そこにぼくは生まれ育ち、今年からまた、ここで働いている。高校までずっと地元で過ごしてきた僕は、大学進学を機に山口市内の大学に進んだ。教員採用試験に受かってこの春、4年ぶりにこの現地の学校に帰ってきて教師になった僕は、週末になるといつも関門海峡が見える市場に出かける。海を眺めながらイキのいい海鮮を食べる。その中でもやはり、フグは僕に取っては避けられない、小さい頃から慣れ親しんだ味だ。どんな店で食べるご飯よりも、ここで食べるフグ刺しに勝るものはない。大学時代、男らしさを見せるために広島出身の彼女を地元に連れてきて、ふぐ差しを箸で一気にすくって豪快に一口で食べたらドン引きされ、大げんかしたことがあった。それも淡く切ない青春の思い出だ。当時と同じように、市場で買ってきたフグを箸で一気にすくう。口いっぱいに頬張り、幸せを噛み締める。その隣には、大学時代と変わらない笑顔と、太陽に反射した金属のリングが光って見えた。もうすぐ僕は結婚する。結婚してからも、子どもができてからも、僕は当時と変わらないこの味を、大好きな地元で、大好きな家族と一緒に味わうだろう。
たっき〜 さん
お母ちゃんの甘いたまご焼き
運動会や遠足などでお弁当が必要な時、お母ちゃんがいつも甘いたまご焼きを作ってくれました。 口当たりはふわふわで、少し焦げ目がついたたまご焼きでした😌 27歳になった今でも、たまご焼きは甘い派です。
るーちゃん さん
おかわりした漬物サンドイッチの衝撃
いまから20年前。 ホーチミンの現地法人オフィスでベトナムの仲間たちとたどたどしい英語でミーティングしていた。 ディスカッションが長くなりショートブレイクを入れたタイミングで、フードデリバリーで軽食を頼んでくれるという。 いまでは日本でもすっかり有名になったバインミーがずらっと並んだメニュー表を渡されたが、彼らのおススメに従った。 パクチーが苦手でアジア・エスニック料理全般避けがちだった私は、届いたラップをおそるおそる開き、はしっこを小さめにかじってみた。 驚いた。フランスパンの間に肉と酸っぱいおしんこ?なます?が入っている。洋のものに和のものがはさまった、ベトナムのサンドイッチ?ほんの一瞬頭が混乱したが二口目からはもう夢中だった。 あんまりおいしくてつい調子に乗り、追加発注してもらえないかおねだりしたら喜んで発注してくれた。1個追加をお願いしたのに2個届いた。そして追加分の中には苦手なパクチー入りのものもあったがすべておいしくいただいた。 ベトナムの仲間たちのうれしそうな顔を覚えている。元気にしているだろうか。
チャン さん
タグで探す
健一君のカレーライス
中学校の文化祭では様々な食べ物が出店していましたが、特にみんなが大好きなカレーライスは作る人数から量を計算するために事前に購入数を集計していました。 そして文化祭直前に購入希望の人に先生がチケットを渡していくと、健一くんが大声をあげました。 健一くんは1枚購入と書いたはずが、誰かのイタズラなのか10と書かれていてチケットが10枚届いたのです。 状況を理解した直後に「もう1枚買うよ」とみんなが健一くんに声をかけてあげて無事に事なきを得ました。 私は元々買っていなかったので1枚だけでしたが購入しました。 文化祭当日、給食とは違った美味しさのカレーライスを食べることができて結果的に良かったし、カレーライスでクラスメイトの絆が強くなったと思いました。 そのイタズラした人も軽い気持ちで集計前には直すつもりで忘れてしまって大事になり困ったと思うのですが、その後そのようなイタズラもなくなりました。
ながらぼ さん
誕生日がクリスマス
私の誕生日は12月24日。そうクリスマスだ。幼少期はこれがとても嫌だった。なぜなら、ケーキを食べる機会が被ってしまい、一回分食べられなくなるからだ。友達の家は誕生日とクリスマスにどちらもケーキを食べると聞いたとき、ひどく損した気分になって自分の運命を恨んだものだ。しかし、今になって気づくと、誕生日と行事が被っているというのは幸せなことだったなと思う。すぐに覚えてもらえるし、フライドチキンなどのご馳走も一緒に頼んでくれたから、同級生と比較しても、ひときわ豪華な誕生日だったと思う。親に感謝だなぁ。
しょんぼりクリスマス さん
ニューオリンズ
ニューオリンズで、バーボンストリートでお酒を飲みながら、そこらかしこに響くジャズを楽しんだのはいい食の体験だった。ほかの場所では外でお酒を飲むのを禁止されていることもあって、特別な感じがしたのと、カフェからストリートから、BARから、そこら中に音楽があふれているあの空気感は、やっぱり他では味わえない体験だなぁと感じた。
ジャズー さん