17
現地の優しさに試される、トイレットペーパー飯
今まではご飯に救われるお話ばかりでしたが、今回はご飯が試練となり、主人公を試す役割として出てきます。かくいう私も就活を途中で投げ出し、あてどなく絵を描き始めた人間です。ラスト、主人公は「旅ごはん」を通じて変化するわけですが、それは良いことなのか悪いことなのか…。どちらとも言えないところが気に入っている作品です。(したら領)
SNSでシェア

カンボジアのバス停とフライドライス
大学2回生の頃、よくバックパッカーとして旅に出ていた。それは自分を探す旅、とか、世界を知りたい、とか、高尚なものではなく、周りの人間が何かに打ち込んでいる中で、何もしていない自分への焦燥感に追いやられた旅だった。そんな中で思い出に残っているご飯はベトナムとカンボジアを繋ぐ長距離バスで名前も知らないカンボジア人の青年と食べたフライドライスだ。たまたま横に座った白いシャツをパリッと着こなした青年が「なぜこのバスに乗ってるんだ?」って話しかけてきたことから会話が始まった。当時も今も英語ができない僕は電子辞書を駆使しながら会話を続けていた。そこで話したことも何も覚えていないんだけど、途中休憩で着いたバスターミナルのことをよく覚えている。彼は「俺が奢ってやるから一緒にご飯を食べよう」と言ってくれたので、素直に好意を受け入れることにした。 そこで何も考えずに注文したフライドライスにはハエがたかり、テーブルに置いてあるスプーンは洗われておらず、トイレットペーパーで拭いて食べるスタイルだった。心の中では目を瞑りながら、感覚を麻痺させて、美味しいと言いながら完食した。彼に御礼を言い、彼はとても喜んでくれていたし、僕もとても嬉しかった。人の優しさや自分の喜びを感じながらも拭い去れない不快感がありながら、自分に卑しさを覚え、初めて感じた複雑な感情が渦巻き、これを成長と呼ぶのかな?と感じた僕のおもいでのごはんメモリーです。
アジアの純真 さん

作品をもっと読む
エピソードをもっと見る
エリアで探す
みそおにぎり
自分の地区では、おにぎりの外側に味噌をまんべんなく塗った味噌にぎりを食べます。特徴は焼かないこで、炊き立てのご飯に味噌を塗るだけです。冷や飯でも美味しいですが、 この食べ物は自分が子供のころから、おやつがわりにおばあちゃんがよく作ってくれました。 この味噌にぎりを一番美味しいと思ったのは、高校の時です。私の通っていた高校では一昼夜を通して80km強の距離を歩く「強歩」というイベントがありました。1日目の朝に出発し、那須・大田原あたりをぐるっと回るこの強歩はかなりきつく、次の日の昼に終わった時には本当に立ち上がれないくらいに疲れ切ってしまいます。これを三年間、毎年私は最後まで完歩しました。 一年目の強歩が終わってへろへろの状態で家に帰ると、おばあちゃんが「疲れたろ」と言い、この味噌にぎりを作ってくれました。高校になってから部活も勉強も忙しく、おやつを食べることも少なくなっていた私にとって、それは久々の味噌にぎりでした。なんだこんなもの、と思いながらも食べると、それは疲れと空腹もあって、人生で一番美味しかった味噌にぎりでした。 あっという間に平らげると、おばあちゃんはもう1つ作ってくれて、それもすぐに食べると3つ目を作ってくれました。「味噌は力になるから」というのがおばあちゃんの口癖で、その時もそれを言っていました。 おばあちゃんはそれからしばらくして施設に入りましたが、味噌にぎりを食べる私を見ながらにこにこ笑っていた顔を今でも思い出します。
栃木のバティストゥータ さん
あぁ、我が故郷の味わらびもち
僕が小さいときからきなこをかけて食べていたわらびもち。量が多くて激安。我が家のおやつは常にこれだった。でも、大人になってから兵庫県を出るとまったく店に置いていなくて焦った。その事実に気づいてからは、兵庫に戻るたびに大量に買って、あのすきとおったプルプル食感のもちに舌鼓を打っている。
高田 さん
特別な卵焼き
私が物心つくときには母と私と弟の3人で暮らしていました。母の収入だけなのでお菓子や玩具は少なかったですが、お弁当だけは毎回大好きな卵焼きを入れてもらってました。我が家の卵焼きは丸いフライパンに卵を広げて半分に畳んだ半月の形のもの。 それを格子状に切って真ん中の厚みがある部分がお弁当箱へ、まわりのパリパリ部分がある所は朝ごはんで食べさせてもらってました。私は卵焼き専用フライパンがあることを大人になってから知りました笑 今でも帰省したときは母の作る特別な卵焼きが大好きです。
羽柴歩 (・∀・) さん
大阪のおでん屋さんのうどん
20代前半、社会人になって間もないころ、慣れない出張で大阪へ。緊張しながらも取引先と日中の仕事を無事終えることができた。夜は打上げで大いに盛り上がり、1軒で3時間は過ぎていただろうか。すでにだいぶお酒も呑んでいた。店を出ると、「締めの一杯行こうぜ」と言われ、まだ呑むのかよ、勘弁してくれよ、と思いつつ千鳥足で歩き回り、営業しているおでん屋さんをみつけ飛び込んだ。とりあえずじゃないけどビールとおでんを少々頼み再度乾杯。そこで口にしたおでんのおだしが・・・うまい。東京と違う。地域によっておだしが異なるという知識はあったが、体験したのは初めてだった。さらに若かった私はまたお腹がすき始めていることに気づき、おでんでは飽き足らず、何か追加注文しようと思い立った。「うどん頼んでいいすか」と取引先に伝えると、「いいよ、しっかしお前、よく食うなぁ―」と上機嫌。でてきたのはシンプルきわまりない素うどんだったが、これが五臓六腑にしみわたるうまさ。そもそも、なんでおでん屋にうどんがあるんだ?、東京にはおでん屋ってないよなあ、大阪なんかいいな、と思いながらうどんをすすってあっという間に完食。取引先は半寝状態。何だか大人の階段を上った気がした夜だった。
河童 さん
タグで探す
嫌いな食べ物ある?
「嫌いな食べ物ある?」 居酒屋で飲んでいた時にした会話。 友達たちが「パクチー」「ほうれん草の味噌汁」「ゆでたキャベツ」と順番に答えていく。 一番最後私の番。もはや大喜利だろみたいなこの場面で私が答えたのが、 「加工されたいちご」。 全くウケなかった。分かっていたけど何か悔しい。何が正解だったのだろう。あれからずっと考えているが答えが出ない。 だからこそ皆さんに問いたい。 「嫌いな食べ物ある?」
和こうちゃ さん
京都滞在を延ばした本当の理由は、ごぼ天うどん?
大学1年生の12月28日、初めて一人旅に出た。場所は京都。 アルバイトで貯めたお金に余裕はなくて、宿泊はゲストハウスに。そのゲストハウスの人に教えてもらって、食べに入ったうどん屋さん。 そこで、ごぼ天うどんを食べて目を見開いた。ごぼうがシャクシャク、ホクホク。カレー塩がまぶしてあって、永遠に食べていられる絶妙なごぼ天なのだ。うどんとの相性も最高、悪いわけない、永遠コース。 感動した私は、ゲストハウスで人と知り合うたびにごぼ天うどんに誘い、新しく宿泊しにきた人をごぼ天うどんに誘い、ごぼ天の美味しさをただただみんなと共有し続けた。 そして、12月31日。この日には東京に帰る予定だったのに、「私、今夜も、ごぼ天食べていこうかな……」 その場にいたゲストハウスの友人たちは「本当にあのお店のごぼ天うどんが好きなんだねえ、付き合うよ」と笑ってくれた。 結局、2泊も延泊した。初めて、年越しを実家以外で過ごした冬だった。 私が延長したかったのは、ごぼ天を食べる時間だったのか、ゲストハウスで知り合った友人たちとの会話や時間だったのか。美味しさと楽しさをないまぜにして、東京に帰った。
ぐうぐう さん
みそおにぎり
自分の地区では、おにぎりの外側に味噌をまんべんなく塗った味噌にぎりを食べます。特徴は焼かないこで、炊き立てのご飯に味噌を塗るだけです。冷や飯でも美味しいですが、 この食べ物は自分が子供のころから、おやつがわりにおばあちゃんがよく作ってくれました。 この味噌にぎりを一番美味しいと思ったのは、高校の時です。私の通っていた高校では一昼夜を通して80km強の距離を歩く「強歩」というイベントがありました。1日目の朝に出発し、那須・大田原あたりをぐるっと回るこの強歩はかなりきつく、次の日の昼に終わった時には本当に立ち上がれないくらいに疲れ切ってしまいます。これを三年間、毎年私は最後まで完歩しました。 一年目の強歩が終わってへろへろの状態で家に帰ると、おばあちゃんが「疲れたろ」と言い、この味噌にぎりを作ってくれました。高校になってから部活も勉強も忙しく、おやつを食べることも少なくなっていた私にとって、それは久々の味噌にぎりでした。なんだこんなもの、と思いながらも食べると、それは疲れと空腹もあって、人生で一番美味しかった味噌にぎりでした。 あっという間に平らげると、おばあちゃんはもう1つ作ってくれて、それもすぐに食べると3つ目を作ってくれました。「味噌は力になるから」というのがおばあちゃんの口癖で、その時もそれを言っていました。 おばあちゃんはそれからしばらくして施設に入りましたが、味噌にぎりを食べる私を見ながらにこにこ笑っていた顔を今でも思い出します。
栃木のバティストゥータ さん
給食が嫌いだった
給食が嫌いだった。 ”決められた時間で食べ終えなければいけない” ”給食当番がかなりめんどくさくて大変” ”残してはいけないというあの雰囲気” 栄養価が高い以外のメリットをあまり感じていなかった。だから、高校生になって給食がなくなったときはすごく嬉しかった。でも、ある日友達と好きな給食のメニューの話ですごく盛り上がった。違う中学校で住んでいる地域も違う。なのに給食という共通の思い出は合って、そのことが嬉しかったし面白かったのだ。 栄養価が高い以外にもメリットがあった。それは給食という共通の思い出を私たちに提供してくれていることだ。そう考えると無性に食べたくなった。
ペパーミント さん